説明: E:\HomePage\html\research\img\cascade.jpg
複雑内部流れの非定常三次元解析 
(回転翼列グループ)

説明: E:\HomePage\html\research\img\aero.jpg
空力騒音解析 
(空力騒音グループ)

説明: E:\HomePage\html\research\img\centrifugal2.jpg
遠心型ターボ機械の内部流動解析 
(遠心グループ)

説明: E:\HomePage\html\research\img\yokuretsu1.png
革新的ターボ機械の空力設計 
(空力設計グループ)

説明: E:\HomePage\html\research\img\wind.jpg
風レンズ風車の開発 
(風レンズグループ)

説明: E:\HomePage\html\research\img\h2.jpg
複雑渦流れ場の実験解析 
(計測グループ)




遠心型ターボ機械の内部流動解析

遠心型ターボ機械について

 

 本研究グループでは
 「遠心型・斜流型ターボ機械の内部流動」
 に関する研究を行っています.

説明: E:\HomePage\html\img\bar_category.jpg
 ターボ機械(ターボ型流体機械)とは,翼表面の圧力を通じて機械的仕事と流体力学的エネルギーの授受を行う機械を指し,大きく軸流型・斜流型・遠心型の3通りに分けられます. (正確には横流型を加えた4通りですが,ここでは横流型の説明は省きます)

 これらのターボ機械は,それぞれ下記の特徴により類別されます.

 (1) 遠心型(Centrifugal)
    流体が回転軸に垂直な面上を旋回して流入し,円周方向へ出て行く
 (2) 斜流型(Diagonal)
    流体が軸の斜め方向から流入し,斜め方向へ出て行く
 (3) 軸流型(Axial)
    流体が軸方向から流入して,吸い込み軸方向へ出て行く

※ 右図1参照


 軸流型では羽根車(インペラー)の回転を介して流体に運動エネルギが与えられますが,遠心型・斜流型ではこれに,「インペラの回転に伴う遠心力による圧力上昇」が付け加わります. すなわち遠心型ターボ機械は,軸流に比べて多段化は困難であるものの(多段化により周方向に半径が広がるため),1段あたりの圧力比が高い特徴を有しています.

 そのため,軸方向に距離をとる事ができ,かつ大流量を必要とするジェットエンジン等では主に軸流型が用いられますが,逆に,空間的な制約のため小型化を要求される一方で,高圧が必要とされる車両用ターボチャージャー(右図2)等では遠心型が主に用いられています.

本研究グループでは,このような特徴を持つ遠心型・斜流型ターボ機械を対象として,企業との共同研究を行っています.



説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\3.gif

図1 車両用ターボチャージャー
HONDAホームページより引用)

 

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\2.jpg
図2 遠心型と軸流型の特徴 (斜流型は両者の中間の特徴を持つ)

 

研究の目的

 

 現在,遠心型ターボ機械は様々な分野で使用され,その用途も拡大の一途をたどっています.
 特に,昨今では小型化・高圧化・高速化といった性能の向上が強く要求されており,わずかな性能向上が経済的に重要な意味を持つようになってきていると言えます.
 こういった性能向上の要求を満たすためには,設計時点から内部流れを把握し,これに基づいた定常および非定常の性能を予測することが非常に重要です.

 一方で,実際のターボ形流体機械は複雑な構造をしているため,詳細な測定(実験)を行うことは困難です.
 また流路の幾何学的形状や羽根車を構成する各要素の影響により,ある条件で得られた結果がその他のものに適応できるとは限りません.
 さらに,設計点以外で作動するときは,その内部流れは設計状態における流れとは異なったものとなります.特に流量が設計流量よりも小さい場合には羽根前縁から剥離が生じ,設計点での流れとはまったく違った流れになります.

 遠心型圧縮機おいては,運転範囲のほぼ全域が使用されるため,遠心圧縮機のワイドレンジ・高効率化には,剥離流れや, 流量の急激な変化,・急始動・急停止時など, 運転の状況が急変する場合の内部流れを把握することが重要です.

 このような理由から,ターボ機械の性能予測においては実験だけでなく,数値シュミレーションが有効な手段として用いられるようになっています.
 数値シミュレーション(CFD解析)では,実験で捉えることが難しい流体の流れ構造(渦構造や,衝撃波など)を可視化することで,どこでどのような現象が生じているかが一目で理解することができます.
 また,実験とは異なり初期条件や種々の条件の変更が容易なため,あらゆる条件を試すことができるので,製品の開発段階におけるシミュレートが可能となります.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\characteristic.jpg

遠心型圧縮機の圧力流量特性
Emmons,et al(1955)

 

過去の研究事例

(1) 遠心圧縮機の内部流動解析

 


 本研究ではベーンレスディフューザ付きシングルスプリッタ型遠心圧縮機について,企業との共同研究による解析を行いました.

 実験は企業が行い,本研究室では大規模数値シミュレーション(CFD)を行いました.
 数値解析では,右の図のようにフルブレード,スプリッタ翼を含む複雑流路について,フルブレード間1ピッチあたり約260万点の計算格子を作成し,スーパーコンピュータを用いた大規模な三次元非定常DES(空間平均・時間平均複合ナビエストークス方程式)計算を行いました.

 また,得られた計算結果に対してCritical Point解析に基づく渦コアの同定を行うとともに,LIC法(Line Integral Convolution Method)による限界流線の可視化,その他,流体の損失を示すエントロピ関数やマッハ数分布等の算出を行うことにより,全体の流動現象を把握するための流れ場の可視化を行いました.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\centrifugal_img\Fig2.jpg

 


 下のグラフは,実験値と数値解析(CFD解析)の結果を比較したものです.
CFD
解析は実験結果と全域でほぼ一致しており,現実の流れ場を精密に再現できているといえます.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\centrifugal_img\pressure.png

 このことより,当研究室のCFD解析を用いると,「実際には測定困難な流動現象の把握も可能である」という事が分かります. また,解析対象の全域を計算しているため,実験では捕らえきれないような流れ場の詳細な様子の把握も可能です.

 

 

 右図は高流量における渦構造と,低流量における渦構造と流線を示したものです.ここで低流量の図は,より現象を見やすいようにインペラを拡大して表示しています.

 スプリッタ翼の渦構造を見てみると,高流量では下流域に渦構造は存在していませんが,低流量になると無次元ヘリシティが青色から赤色へと変化している渦構造が現れています.
 これは流線から見ても明らかですが,渦構造が大きく変化し,流れ場に大きな影響を与えていることが分かります.
 両図の渦コアは,渦の巻き方向を示す指標である「無次元ヘリシティ」(下式)によって色付けしています. 低流量では,下流域において流れを分岐させる渦構造が発生しており,この渦構造は馬蹄形渦と呼ばれています.この渦構造により圧縮機の性能の低下が生じているということが言えます.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\hel.jpg

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\centrifugal_img\nvl(1295).bmp



流路内部の渦構造(高流量)

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\centrifugal_img\nvl(1114).bmp


流路内部の渦構造と流線(低流量)

 

(2) 遷音速遠心圧縮機の内部流動解析

 


 本研究では実際に企業で用いられているダブルスプリッタ型遠心圧縮機(ターボチャージャー)について,企業との共同研究により解析を行いました.

 実験は企業が行い,本研究室では大規模数値シミュレーション(CFD)を行いました.
 数値解析では,右の図のようにフルブレード,1stスプリッタ翼,2ndスプリッタ翼を含む複雑流路について,フルブレード間1ピッチあたり約180万点の計算格子を作成し,スーパーコンピュータを用いた大規模な三次元定常RANS(レイノルズ平均ナビエストークス方程式)計算を行いました.

 また,得られた計算結果に対してCritical Point解析に基づく渦コアの同定を行うとともに,LIC法(Line Integral Convolution Method)による限界流線の可視化,その他,流体の損失を示すエントロピ関数やマッハ数分布等の算出を行うことにより,全体の流動現象を把握するための流れ場の可視化を行いました.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\mesh3.jpg

 

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\entropy-vortex_d'.jpg


 左図は,流体のエネルギー損失を示すエントロピー関数(下式)の分布を示します.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\ent1.jpg
説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\ent2.jpg

 この図では,エネルギーの高損失域がケーシング面付近(流路上部)に集積している様子が見て取れます.
 これは遠心圧縮機が遠心力の影響を強く受けているためです.

 また各流路においては,翼先端から巻き上がった翼端漏れ渦に沿ってエネルギー高損失領域が拡大している様子が見られます. 特に,翼端漏れ渦が崩壊している領域においては,特に急激なエネルギー損失が見られています.

 

 

 右図はマッハ数分布と渦構造を示したものです.

 ここで,流路上流部においてマッハ数の不連続領域が見られますが,これは衝撃波の発生を示しています.
 しかし,この衝撃波のすぐ下流に存在する渦コアにおいては,渦の巻き方向を示す指標である「無次元ヘリシティ」(下式)の値は急変しておらず, 渦崩壊を生じていないということが言えます.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\hel.jpg

 このことより,流路上流において発生した衝撃波は弱い衝撃波であることが分かります.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\mr_d3'.jpg

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\vortex-mr_d'.jpg

 

(3) 遷音速斜流圧縮機の内部流動解析

 

 上述の遠心圧縮機に関する研究のほか,以下に示すような斜流型の遷音速圧縮機についても,企業との共同研究で解析を行っています.

 

 右図に解析対象とした遷音速斜流圧縮機羽根車を示しています.
 斜流圧縮機は,低流量の仕様に対しても高負荷化しやすいため,小型ガスタービンや過給機などの多くの産業分野で広く用いられています.

 昨今,小型ガスタービン分野においては高周速・高圧力比が要求され,これを企図した研究開発が進められています.
 このようなニーズがあるにも関わらず,軸流羽根車に関しては数多くの実験およびCFDによる研究が盛んに行われている反面で,斜流圧縮機に関する研究例は軸流羽根車に比べて少なく,その内部流動現象について不明な点が数多く残されています.

このような観点から,本研究グループにおいては斜流圧縮機に関する研究も行っています

 

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\mix shape.jpg説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\anim_3.gif

 遷音速斜流圧縮機羽根車


 以下に,遷音速斜流圧縮機羽根車の解析結果の可視化アニメーションの例を示しています.
 左図は翼面上の限界流線とその時の渦コアを示しており,右図は渦コアと流線の関係およびエネルギー損失の分布図を順に示しています.

 以下の解析結果についての詳細な説明は省略しますが,このようなビジュアルデータマイニング技術を駆使した解析を行っています.

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\anim_1.gif

 限界流線と渦コア

説明: E:\HomePage\html\research\centrifugal\turbo_img\anim_2.gif

 渦コア・流線・エネルギー損失分布

上記以外の研究事例はこちら

[研究内容のページへ]



  Copyright © ; Fluids Engineering Science Laboratory, Kyushu University, Japan. All Rights Reserved.