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ファンの内部流動現象と空力騒音

サブテーマ
■軸流・遠心ファンおよび風レンズ風車
■LBM(格子ボルツマン法)による流れ場と音響場の同時直接解法【「富岳」プロジェクト(国プロ)】
■子午面粘性流動解析とLBMに基づく半開放型ターボ機械の三次元空力設計
■ファンの空力騒音に関連した渦流れ現象の解明【2015年度日本機械学会賞(論文)】

  • 研究概要
  • 格子ボルツマン法(LBM:Lattice Boltzmann Method)とは
  • 研究背景・研究目的
  • 研究内容:LBMによる流れ場と音響場の同時直接解析
  • 研究内容:LBMに基づくプロペラファンの子午面粘性流れ解析と三次元空力設計
  • 研究内容:ファンの空力騒音に関連した渦流れ現象の解明
  • 研究内容:風レンズ風車の開発
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    研究概要

    (associazione per l'insegnamento della fisica より引用)

    本グループは,ファンを対象として,「格子ボルツマン法(LBM)を用いた内部流動現象および空力騒音の発生メカニズムの解明と革新的な空力設計手法の構築」に関する研究を行っています.

    格子ボルツマン法(LBM:Lattice Boltzmann Method)とは

    (associazione per l'insegnamento della fisica より引用)

    流体を仮想粒子の集合体と考え,仮想粒子同士の衝突と並進(移動)を計算することにより,マクロな流体運動を再現する数値計算手法です.低マッハ数の流れ場と音響場を高速・高精度に計算が可能となります.

    研究背景・研究目的

    我々の身の回りには多くのファンが存在します.例えば,エアコンの室外機にはプロペラファンが,コンピュータ筐体には冷却用の小型軸流ファンが広く用いられています.近年,省エネルギーの観点から,このようなファンの高性能化が求められています.また,これらのファンは人間の生活圏の近くで使用されることから,空力騒音の低減化が求められています. ファンの高性能化と低騒音化を実現するためには,翼周辺の流動現象と騒音発生メカニズムの解明が必要となります.私たちのグループでは,LBM等の数値計算手法を用いて翼周辺の流れ場を解析し,騒音発生のメカニズムを解明するとともに,革新的な空力設計手法を創出し,高性能な羽根車の開発に取り組んでいます.また,これらの手法を高性能な風車の開発にも応用しています.

    プロペラファン
    プロペラファン

    研究内容:LBMによる流れ場と音響場の同時直接解析

    ファンまわりの低マッハ数流れから発生する空力音を高精度に解析するため,流れ場と音響場を連成して計算可能なLBMに基づく数値計算手法を構築しました.本手法を単独翼の乱流境界層から発生する空力音の計算に適用し,乱流音の広帯域スペクトルを高周波成分まで精度良く計算できることを実証しました.さらに,埋め込み境界法を用いたLBMを横流ファンに適用し,空力騒音の発生メカニズムの解明に取り組んでいます.

    LBMによる流れ場と音響場の同時直接解析
    LBMによる流れ場と音響場の同時直接解析
    横流ファン 解析例:時間平均速度分布と流線 解析例:圧力変動分布
    横流ファン
    解析例:時間平均速度分布と流線
    解析例:圧力変動分布
    横流ファンへの適用例
    横流ファンへの適用例

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    研究内容:LBMに基づくプロペラファンの子午面粘性流れ解析と三次元空力設計

    本研究では学外企業との共同研究として,空調用のプロペラファンの高性能化に取り組んでいます.LBMを用いて子午面粘性流れ解析を行い,本研究室独自の三次元空力設計手法を用いて翼を設計しています.(三次元空力設計手法に関して,詳しくは 「子午面粘性流動解析に基づく翼列流れの逆問題解法による三次元空力設計」を参照)
    本設計手法では,まず,設計のベースとなる翼形状に対して三次元解析を用いて流れ場を計算します.次に,三次元解析の結果から知的可視化手法を用いて損失の主要因となる流れ現象を固定し,その流れ現象を抑制するような翼形状を,LBMを用いた子午面粘性流れ解析と三次元空力設計から生成します.生成された翼形状が問題点を改善しているかを三次元解析で確認した後,新たな課題を抽出します.
    以上の手順を繰り返すことでより高性能な翼を生成することが可能となります.

    解析例:子午面格子 解析例:子午面粘性流れ解析結果
    解析例:子午面格子
    解析例:子午面粘性流れ解析結果

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    研究内容:ファンの空力騒音に関連した渦流れ現象の解明

    空調機や情報機器などに組み込まれるプロペラファンでは,設置スペースの制約から,多くの場合,動翼のまわりには軸方向長さの短いシュラウドのみが装着され,翼前縁および翼先端の一部が上流に開放される半開放の形態となります.半開放形プロペラファンでは動翼先端から強い縦渦として巻き上がる翼端渦が空力騒音に重要な影響を及ぼすことが知られていますが,翼端渦の流れ構造については十分な理解が得られておらず,その制御技術は未だ確立されていません.そこで,本研究では,エアコン室外機用の半開放形プロペラファンを対象に大規模な数値解析を実施するとともに,知的可視化手法を用いて解析結果から渦構造を的確に抽出することによって,翼端渦の三次元構造を明らかにしました.

    半開放形プロペラファンの流れ場
    半開放形プロペラファンの流れ場

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    研究内容:風レンズ風車の開発

    風力発電システムは,地球温暖化の原因であるCO2を排出しないクリーンなエネルギー源の一つとして普及が進んでいます.しかし日本の風はヨーロッパなどと比べると風速が弱く,さらに風向も頻繁に変わるという特徴を持っているため,風力発電によって安定した発電量を得るためには,弱い風でも高出力が見込める風力発電システムが必要となります.そこで開発されたのが「つば付きディフューザ風車」,通称「風レンズ風車」です.
    本風車の最大の特徴は,風車翼を囲むように取り付けられた風レンズ(集風体)です.風レンズは,左図に示すようにディフューザ部分とつば部分から構成されています.通常,流体機械は流れに対して滑らかに作られますが,逆に風レンズ風車では流れを遮るようにつばを取り付け,それによって発生する渦の作用でディフューザ内に風を集めます.この風レンズを風車に装着することで風車翼に流入する風が増速し(集風効果),これにより弱い風でも発電できるようになります.
    また最近では,”耐風荷重”,”より大型の風車への適用”などの観点から風レンズのコンパクト化が進んでいます.風レンズ風車開発当初は,風車翼に対して大きな風レンズ(プロトタイプ)を使用していました.しかし,現在ではほとんどリング状の風レンズ(コンパクトタイプ)が開発され,研究が進められています.

    風レンズ風車
    ([1] より引用)
    プロトタイプ
    ([2] より引用)
    コンパクトタイプ
    風レンズ風車
    ([1] より引用)
    プロトタイプ
    ([2] より引用)
    コンパクトタイプ

    参考文献
    [1] 電業社機械 Vol.36 No.1 (2012)
    [2] Ahmad Sedaghat, Rafat Al Waked, M El Haj Assad, Khalil Khanafer and Muath NA Bani Salim, "International Journal of Astronautics and Aeronautical Engineering", ISSN:2631-5009 (2017)

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