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光学的可視化解析

サブテーマ
■PSP・TSPを用いた遷音速遠心圧縮機のサージングに伴う逆流現象の非定常計測
■重ね塗り感圧・感温塗料の寿命法を用いた圧力・温度場計測

  • 研究概要
  • データ同化とは
  • 研究目的
  • 研究内容:PSP・TSPを用いた遷音速遠心圧縮機のサージングに伴う逆流現象の非定常計測
  • 研究内容:重ね塗り感圧・感温塗料の寿命法を用いた圧力・温度場計測
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    研究概要

    本研究グループは,近年,気象学や海洋学などに代表される地球環境学分野において発展してきた,「実験結果をもとに数値シミュレーションの解を高精度化する」手法であるデータ同化手法を用いて,ターボ機械の内部流動の解明に取り組んでいます.

    データ同化とは

    これまでに,数値解析技術CFD(Computational Fluid Dynamics)は急速に発展するとともに,様々な流れ場の解析に適応されています.近年では,コンピュータの開発も進み,スーパーコンピュータ等を用いた大規模なCFDを実施することで複雑な流動現象の高精度な解析が望めます.一方で,実験解析技術EFD(Experimental Fluid Dynamics)においても,高応答センサの開発,PIV(Particle Image Velocimetry)やPSP(Pressure Sensitive Paint)などの流れ場の計測技術の発展により,時空間的に多くの情報を得ることが可能となっています.このように,CFDおよびEFDにより流れ場に関する多くの情報が得られる上で,両者をいかに活用するかが重要となり,それは,単に両手法から得られた物理量の分布を比較するだけでなく,実験結果を数値計算の過程に取り込むことを意味します.このような事象に対し地球環境学分野では,観測データと数値シミュレーション結果を数学的手法を用いて融合し,数値シミュレーションの解を高精度化する「データ同化」という手法が確立され,他分野の数値シミュレーション技術への導入が進んでいます.

    理化学研究所:ゲリラ豪雨の観測と数値シミュレーション,データ同化の比較(理化学研究所HPより引用)
    (左上:観測結果,左下:数値シミュレーション,右上:100m間隔でデータ同化をした場合の結果,右下:1km間隔でデータ同化をした場合の結果)

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    研究目的

    流体工学分野においてCFDは,物理的制約等からEFDでは得られない流れ場の詳細な情報を知るための重要な役割を担っています.しかしながら,CFDにおける解法の不適切さやモデル化などの理由から,必ずしも実現象に則した解が得られるとは限りません.そこで,本研究グループでは,ターボ機械周りの流れ場を対象とし,データ同化手法により高精度な解を得ることを目的として,その手法の確立やコード化,さらには実験データの取得を行っています.
    データ同化に用いるEFD解析結果を取得するための計測手法として,空間的に連続な物理量の場の情報を得られる画像計測手法を適用することで,データ同化の精度を高めることが可能となります.感圧塗料 (Pressure Sensitive Paint: PSP) および感温塗料 (Temperature Sensitive Paint: TSP) は,色素の発光強度や発光寿命が表面上の酸素圧力や温度に依存する性質を利用した圧力・温度場の可視化計測技術であり,空気流中の固体表面上に働く圧力・温度場を高い空間解像度で取得できます.しかしながら現状では,PSPの時間応答性は半導体圧力センサープローブに比べて遅く,またPSPが有する温度依存性により,不均一な温度場中において圧力計測の精度が悪化する問題があり,複雑流れ場のEFD解析への適用には,これらの問題を解決するための技術革新が不可欠です.

    PSPによるファン翼面上の圧力分布計測 遠心圧縮機周りの渦構造
    PSPによるファン翼面上の圧力分布計測
    遠心圧縮機周りの渦構造

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    研究内容:PSP・TSPを用いた遷音速遠心圧縮機のサージングに伴う逆流現象の非定常計測

    サージングとは,圧縮機の低流量運転状況下で発生する圧力・流量の周期的な振動現象であり,場合により逆流を伴う非定常現象です.サージングはシステムの不安定運転や配管系破損の原因となるため,安全性・安定性の向上にはサージングの予測および回避は必要不可欠です.本研究では感圧塗料(PSP)・感温塗料(TSP)およびそれらの重ね塗り(DL-PTSP:Dual-Layer PSP/TSP)を用いて,サージング発生時の非定常流動場における実験解析を行っています.

    DL-PTSP(重ね塗り感温・感圧塗料) DL-PTSP画像:圧縮機上流配管壁面
    定点温度時間変化 壁面温度可視化画像
    DL-PTSP(重ね塗り感温・感圧塗料)
    DL-PTSP画像:圧縮機上流配管壁面
    定点温度時間変化
    壁面温度可視化画像

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    研究内容:重ね塗り感圧・感温塗料の寿命法を用いた圧力・温度場計測

    感圧塗料(PSP)および感温塗料(TSP)は,色素の燐光発光の強度や寿命が酸素圧力や温度に依存する性質を利用し,圧力・温度場を連続的かつ非接触で計測できる,センサです.PSPの感度向上に伴い圧力変動の小さい低速流れ場への適用が可能となりつつあります.しかしながらPSPは圧力と温度の双方に感度を有するため,不均一な温度場において圧力計測の誤差が大きくなる問題を有しています.この問題を解決するためPSPとTSPを併用しPSPの温度補正を行う,重ね塗りPSP/TSPが開発されています.本研究では高精度化のために,重ね塗りPSP/TSPについて塗料の膜厚さの低減と影響補正手法の開発などを行っています.

                        
    PSP発行原理 TSP発行原理重ね塗りPSP/TSP模式図
                                          
    噴流試験装置温度・圧力イメージング結果
    PSP発行原理
    TSP発行原理
    噴流試験装置
    重ね塗りPSP/TSP模式図
    温度・圧力イメージング結果

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