トップページ研究室概要研究紹介メンバー紹介イベント掲示板(別ウインドウで開きます)リンク


複雑内部流れの非定常三次元解析 
(回転翼列グループ)


空力騒音解析 
(空力騒音グループ)


遠心型ターボ機械の内部流動解析 
(遠心グループ)


革新的ターボ機械の空力設計 
(空力設計グループ)


風レンズ風車の開発 
(風レンズグループ)


複雑渦流れ場の実験解析 
(計測グループ)



空力騒音解析 (Analysis of Aerodynamic Noise)
研究目的
このグループの研究目的は,「流体機械(Turbo Machinery)*1の空力騒音(Aerodynamic Noise)*2低減の方法を探ること」にあります.

流体機械に対するアプローチ法はEFD*3CFD*4の2つに大別されますが,私たちのグループではこれまでのCFD解析をさらに発展させつつ,EFD/CFDハイブリッド流動解析(EFDとCFDの融合)も行っています.


*1 流体機械(Turbo Machinery): 流体の持つ力学的エネルギー(流体力学的エネルギー)と機械的仕事との変換機のこと.
ポンプ,圧縮機,送風機など多岐にわたる

*2 空力騒音(Aerodynamic Noise): 気流の挙動によって生じる音(騒音)のこと(単極子音源,双極子音源, 4極子音源)

*3 EFD(Experimental Fluid Dynamics;実験流体力学): 稼動している実機やモデル試験機にセンサー等を取り付けて行う実験から得られるデータをもとに流れを解析する手法

*4 CFD(Computational Fluid Dynamics;数値流体力学): HPC(High Performance Computer)などによる大規模数値シミュレーションで実機内の流れ場を再現し流れを解析する手法


現代では工業製品に”環境”性能を付加しようという気運があります.空力騒音の低減という研究はまさしくそのような社会のニーズを満たす研究であると言えます.また,流体機械の騒音問題は流れ場と音場が混在する複雑な問題であり,学問としてもこれから伸びていく分野でもあります.


研究内容
(1) 冷却用のプロペラファンにおいて、空力騒音を引き起こす三次元流動現象の探査
プロペラファンは構造が簡単で大流量を実現できることから,単体として換気用ファンに,エアコンの室外機や自動車のエンジンブロックに組み込まれた熱交換器用の冷却ファンなどに広く使用されています.プロペラファンは人間の居住環境に近い場所で作動するため,その空力特性には高効率のみならず,低騒音が求められます.このプロペラファンでは,省スペース化の観点から,ケーシングとして軸方向長さの短いベルマウス(半開放形シュラウド)のみが装着されることが多く,その場合動翼先端の大部分が開放された形態であり,動翼がケーシングで完全に覆われた軸流ファンと比較して,その動翼周りの流れ場は極めて複雑な三次元性を呈します.しかし空力騒音特性と密接に関係した動翼まわりの非定常流れ拳動は,最新の流れ計測技術を用いても,実験により把握することが困難です.そこで私はCFD(数値流体力学)を用いたプロペラファンの流動解析より,その三次元流れ構造の解明を進めると同時に,流れ場の非定常挙動も明らかにすることで,プロペラファンの空力騒音を予測・低減することを目的としています.
本グループでは学外企業との共同研究として空調機で使う冷却用のプロペラファンに取り組んでます.本年度からはプロペラファンにおいて、研究室オリジナルのCFDプログラムを用いて,空力騒音を引き起こす三次元流動現象の探査を行います.


クリックで拡大表示
The Shape of Half Ducted Propeller Fan
[クリックで拡大表示]
左の図が解析対象の半開放型プロペラファンです.ファン近傍の流れ場は内部流れ外部流れが混在する複雑な流れ場となります.また,ファンの羽根車内の流れ場は複雑な三次元渦流れ場の様相を示し,内部流動現象はEFD解析では解析不可能となっています.
本研究室では独自のCFD解析手法を用い,複雑な三次元渦流れ場の流動現象を他に類を見ないほど正確に再現することに成功しています.

右の図は渦構造を表示しています.過去の研究より,ファンの騒音は渦構造と翼面の干渉に伴う非定常圧力変動によるものという知見が得られました.右図を見ると,翼端から発生した翼端漏れ渦が発達している様子が見受けられます.
クリックで拡大表示
Three Dimensional Vortex Structure
[クリックで拡大表示]

クリックで拡大表示
Vortex Structure & Limited Streamline
[クリックで拡大表示]
左の図は限界流線とはく離構造を表示しています.限界流線により翼面における詳細なはく離構造が可視化され,羽根車内の流れ構造を正確に把握することが可能となります.



(2) 空調システムにおける空力騒音の低減化
住宅,オフィスおよび乗用車などでは,空調システムが不可欠な要素となっていますが,人間の居住環境に近い場所で作動することから,その空力特性は高効率のみならず低騒音が求められます.本研究では空調システム(ファンや流路)の騒音低減化について取り組んでいます.       
空調システムにおける空力騒音と密接に関係した非定常流動現象をEFD解析(実験解析)とCFD解析(数値計算解析)のハイブリッド解析により調査しています.
具体的には,EFD解析では壁面の静圧変動計測とデータ処理を行い,CFD解析では渦構造等を可視化し空調システム内の流動現象を把握します.それらを総合的に考察し空調システム内の騒音発生現象を捉え,どのような騒音がどこで発生しているのかを突き止めます.

      
過去の研究から,空調システムではファンやダクトにおける異常流動現象(逆流やはく離)が空力騒音の発生に大きく影響していることが分かってきました.       
これを踏まえて今年度からは,ファンなどを設計することによって異常流動現象のない流れ場を実現することを目標としています.


    


[研究内容のページへ]


  Copyright © ; Fluids Engineering Science Laboratory, Kyushu University, Japan. All Rights Reserved.